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医療扶助のオンライン資格確認とは?令和6年3月開始の仕組み・フロー・助成金を医療機関向けに徹底解説

2026年07月17日

令和6年3月から本格運用が始まった「医療扶助のオンライン資格確認」。生活保護受給者(被保護者)の医療券・調剤券をもとにした資格確認がデジタル化され、医療機関の事務業務のあり方が変わります。本記事では、従来の紙の医療券業務との違い、新しい業務フロー、そしてレセコン等改修費用への助成金(申請期限:令和8年9月30日)まで、厚生労働省の公的資料をもとに医療機関向けに徹底解説します。

目次

医療扶助のオンライン資格確認とは

医療扶助のオンライン資格確認とは、生活保護を受給している被保護者が医療機関や薬局を受診する際に、従来の紙の医療券・調剤券に代えて、マイナンバーカードや番号情報をオンラインで照会することで資格確認を行う仕組みです。

令和6年3月から本格運用が開始されており、全国の保険医療機関・保険薬局と、すべての福祉事務所が対象となっています。令和8年7月13日付の厚生労働省社会・援護局保護課の事務連絡によれば、生活保護受給者が委託先医療機関および薬局で資格確認を行う際は、原則としてマイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うこととされています。

ただし、急迫した事由その他やむを得ない事情がある場合(医療機関等でオンライン資格確認が導入されていない場合を含む)には、引き続き紙の医療券・調剤券により資格確認を実施することができます。

これまで医療機関の事務スタッフが紙の医療券に記載された情報を手入力していた業務フローが変わるため、院長・事務長・医療事務担当者は制度の内容を正確に把握しておく必要があります。

↓ 医療保険分野・クリニックのオンライン資格確認の導入・運用についてお悩みの方はこちらの資料もご覧ください。

資料閲覧はこちら:【開業医向け】オンライン資格確認導入で見落としがちなシステム購入時の注意点

オンライン資格確認

制度導入の背景と法的根拠

なぜ医療扶助にオンライン資格確認が必要とされたのか

医療保険分野では既にマイナンバーカードによるオンライン資格確認が開始されています。一方、生活保護の医療扶助は医療保険とは別の制度であるため、当初はこの仕組みの対象外でした。

医療扶助における課題として、紙の医療券・調剤券の発行・郵送・手入力といった事務コストの高さ、資格情報の遅延リスク(被保護者が受診時点で医療券が届いていないケースなど)、頻回受診の迅速な把握の難しさなどがありました。

こうした背景のもと、令和2年7月15日(第1回)・10月21日(第2回)に有識者・自治体関係者からなる「医療扶助に関する検討会」が開催され、令和2年11月30日に「医療扶助のオンライン資格確認導入についての方向性の整理」が取りまとめられました。

法律による明確な根拠

「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第66号)により、生活保護法・社会保険診療報酬支払基金法・地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律が改正され、医療扶助におけるオンライン資格確認の導入が法定されました。

施行期日は公布の日(令和3年6月11日)から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日とされ、令和6年3月に本格運用が開始されています。

また、令和3年6月3日の参議院厚生労働委員会の附帯決議では、(1)被保護者のマイナンバーカード取得支援や医療機関等のオンライン資格確認システム導入支援を進めること、(2)何らかの事情でカードを保有していない被保護者には引き続き医療券等の発行を行い必要な医療を受けられる体制を確保すること、(3)情報通信機器を保有していない被保護者がマイナポータルを活用できるよう適切な支援を行うこと、が求められています。

引用元:厚生労働省/全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律について

医療保険との違い:必ず押さえておきたい「用語の読み替え」

医療扶助のオンライン資格確認は、医療保険のオンライン資格確認の仕組みを踏襲して設計されています。ただし、医療扶助は医療保険ではないため、以下のように用語が読み替えられます。この対応関係を正しく理解しておくことが、業務フローの把握において非常に重要です。

医療保険での用語

医療扶助での読み替え

保険証/被保険者証

医療券/調剤券

特定健診

健康増進法に基づく健診

保険者番号

公費負担者番号

被保険者番号(記号番号枝番)

受給者番号

公費負担者番号は福祉事務所等の公費負担医療の実施機関単位で付番される8桁の番号です。福祉事務所ごとに1つが基本ですが、1つの福祉事務所で複数の公費負担者番号を利用しているケースもあります。

受給者番号は被保護者に個人単位で付番される7桁の番号で、1つの公費負担者番号の中で一意になるよう管理され、被保護者個人単位で固定化されます。

なお、令和5年度の医療扶助のオンライン資格確認において、柔道整復等で利用する「施術券」は対象外とされています(医療券・調剤券のみが対象)。外国籍の被保護者については、現行の運用を踏まえ、オンライン資格確認の対象とされています。

引用元:厚生労働省/救急時医療情報閲覧のオンライン資格確認等システムの導入に関するシステムベンダ向け技術解説書



↓ 医療DXの全体像を把握したい方はこちらの資料もご覧ください。

資料閲覧はこちら:「医療DX令和ビジョン2030」とは? ~概要・方針・現状についてご紹介~

オンライン資格確認導入後の新しい業務フロー

福祉事務所側の変化

オンライン資格確認の導入後、福祉事務所が要否意見書を踏まえた医療扶助の決定時に医療券/調剤券情報を生活保護システムに登録するという運用自体は変更ありません。

変わるのは、その情報の流れです。登録された資格情報は医療保険者等向け中間サーバー等・オンライン資格確認等システムに自動的に連携されます。これにより、医療機関・薬局側がリアルタイムに近い形で資格情報を取得できるようになります。

医療機関・薬局での新しい受付業務

医療機関・薬局の窓口では、以下の2通りの方法で資格確認が行われます。

マイナンバーカードを保有している被保護者の場合:
顔認証付きカードリーダー等にマイナンバーカードを置き、顔認証またはPIN入力による本人確認を行うことで、資格情報がオンラインで取得されます。医療保険のオンライン資格確認と同様の操作です。

マイナンバーカードを保有していない被保護者、またはマイナンバーカードによる資格確認ができない場合:
医療券/調剤券に記載された公費負担者番号・受給者番号・生年月日等をもとにオンラインで資格照会を行います。

いずれの場合も、オンライン資格確認の導入により、紙の医療券・調剤券に記載された情報を医療事務スタッフが手入力する必要がなくなり、資格情報が自動的にレセプトコンピュータ等に取り込まれるようになります。

なお、医療扶助のオンライン資格確認の導入にあたっては、医療保険のオンライン資格確認等システムの基盤(顔認証付きカードリーダー等を含む)を最大限活用する方針が取られているため、既にオンライン資格確認を導入済みの医療機関は、機器・回線を追加で用意する必要はなく、主にレセコン等のソフトウェア対応が中心となります。

↓ 電子的診療情報連携体制整備加算など医療DX関連の加算についてはこちらをご覧ください。

資料閲覧はこちら:電子的診療情報連携体制整備加算とは(旧医療情報取得加算及び医療DX推進体制整備加算)点数・算定条件を解説

医療機関・薬局側に必要なシステム対応

改修が必要なシステムの種類

医療扶助のオンライン資格確認を導入するには、各種システムの改修(パッケージソフトの適用)が必要です。主な対象は以下の通りです。

- 病院の医事会計システム:オンライン資格確認機能の改修が必要
- 診療所・薬局のレセプトコンピュータ(レセコン):オンライン資格確認機能の改修が必要
- 電子カルテシステム・調剤システム:薬剤情報・健康増進法に基づく健診情報の閲覧機能に関して、パッケージソフトの機能範囲等によりシステム改修が必要になる場合がある

既存機器・回線は最大限活用できる

顔認証付きカードリーダーや資格確認端末など、医療保険のオンライン資格確認で利用している既存の機器・回線は、医療扶助のオンライン資格確認でも最大限活用できます。そのため、機器の追加購入は原則不要で、ソフトウェアの改修・アップデートが中心的な対応となります。


↓ レセコンの選び方・比較についてはこちらの資料もご参考ください。

資料閲覧はこちら:徹底解説!電子カルテ・レセコン比較ガイド

導入によって期待できる効果

厚生労働省の公的資料に明記されている効果は、医療機関・福祉事務所・被保護者それぞれの立場で整理できます。

医療機関・薬局にとっての効果

- 事務コストの低減が期待できる:紙の医療券/調剤券の受領業務の削減、受給者番号等の手入力業務の削減
- 診療報酬再審査請求業務の削減に貢献する:資格情報の自動取込による入力ミス低減
- より良い医療の提供をサポートする:薬剤情報の閲覧、健康増進法に基づく健診情報の閲覧が可能になる
- 確実な資格確認:保護廃止後の診療報酬請求等の事例を防止しやすくなる(資格の変更をより即時的・確実に確認できるため)

被保護者にとっての効果

- 福祉事務所への来訪が不要になる:医療券を福祉事務所の窓口に取りに行くという手間がなくなる
- 受診時の利便性向上:マイナンバーカード1枚で受診できるようになる

【期限迫る】レセコン改修等への助成金情報(令和8年9月30日締切)

今年度限りの助成事業、申請は令和8年9月30日まで

厚生労働省は令和5年度から、医療扶助のオンライン資格確認導入に伴うレセコン等の改修費用等に係る助成事業(医療扶助のオンライン資格確認導入に係る医療機関等助成事業)を実施しています。

令和8年7月13日付の厚生労働省社会・援護局保護課の事務連絡により、これまで「当分の間」とされていた申請期限が令和8年9月30日に確定しました。本助成金は今年度(令和8年度)をもって終了となります。

令和8年度中が最後のチャンスです。対象となる医療機関・薬局は速やかに申請の準備を進めることをお勧めします。

助成金額(申請時点で改修済みであることが条件)

対象

助成上限額

事業費上限・補助率

病院

上限28.3万円

事業費上限56.6万円の1/2を補助

大型チェーン薬局(グループで処方箋の受付が月4万回以上の薬局)

上限3.6万円

事業費上限7.3万円の1/2を補助

診療所、および上記以外の薬局

上限5.4万円

事業費上限7.3万円の3/4を補助

- 助成対象:申請時点で医療扶助のオンライン資格確認導入に伴うレセコン等の改修を実施済みの病院・診療所・薬局

※本情報は2026年7月時点のものです。申請期限・補助額等は変更となる場合があります。最新情報は厚生労働省社会・援護局保護課の公式資料で必ずご確認ください。

導入率の推移

厚生労働省の資料によれば、指定医療機関における導入率は以下のように推移しています。

- 令和6年4月1日時点:22.5%
- 令和8年4月6日時点:66.9%

約2年間で44.4ポイント改善していますが、依然として約3分の1の指定医療機関が未導入の状況です。助成金の申請期限(令和8年9月30日)が迫っている今、未導入の医療機関は対応を急ぐ必要があります。

引用元:厚生労働省/「医療扶助のオンライン資格確認導入に係る医療機関等助成事業」について

↓ 東京都 診療所診療情報デジタル推進事業補助金についてはこちらの資料もご覧ください。

資料閲覧はこちら:【令和8年版】電子カルテの導入に使える補助金 【診療所診療情報デジタル推進事業補助金】のご紹介

よくある質問(FAQ)

Q1. 医療扶助のオンライン資格確認はいつから始まりましたか?

令和6年3月から本格運用が始まっています。すでに運用中の制度であり、対象は全国の保険医療機関・保険薬局と全ての福祉事務所です。

Q2. 施術券(柔道整復等)はオンライン資格確認の対象ですか?

対象外です。令和5年度の医療扶助のオンライン資格確認では、柔道整復等で利用する「施術券」は対象外とされており、医療券・調剤券のみが対象となっています。

Q3. 外国籍の生活保護受給者もオンライン資格確認の対象になりますか?

はい、対象です。外国籍の被保護者についても、現行の運用を踏まえ、オンライン資格確認の対象とされています。

Q4. マイナンバーカードを持っていない被保護者はどうなりますか?

マイナンバーカードを保持しない被保護者や、マイナンバーカードによる資格確認ができない場合は、医療券/調剤券に記載された公費負担者番号・受給者番号・生年月日等をもとにオンラインで資格照会を行います。また、急迫した事由その他やむを得ない事情がある場合は、引き続き紙の医療券・調剤券により資格確認を実施することができます。

Q5. 顔認証付きカードリーダーは新たに購入する必要がありますか?

原則として新たな購入は不要です。医療保険のオンライン資格確認で既に使用している顔認証付きカードリーダー等の機器・回線を最大限活用する方針となっており、主にレセコン等のソフトウェア改修(パッケージソフトの適用)が中心的な対応となります。

Q6. 助成金はいつまでに申請すればよいですか?また申請条件は何ですか?

令和8年9月30日が申請期限です。申請条件は、申請時点でレセコン等の改修を実施済みであることで、改修に係る領収書(必要に応じて領収書内訳書)が必要です。本助成事業は令和8年度をもって終了となるため、未申請の医療機関・薬局は速やかに対応されることをお勧めします。なお、申請期限・要件等は変更となる場合があるため、最新情報は厚生労働省の公式資料で必ずご確認ください。

まとめ:今すぐ確認すべき3つのアクション

医療扶助のオンライン資格確認は令和6年3月から本格運用が始まっており、全国の保険医療機関・保険薬局が対象です。令和8年4月6日時点での指定医療機関における導入率は66.9%に達していますが、依然として約3分の1が未導入です。

今すぐ確認・実施すべき3つのアクションをまとめます。

アクション1:自院のレセコン・電子カルテが改修済みか確認する
レセコンや電子カルテが医療扶助のオンライン資格確認に対応するための改修(パッケージソフトの適用)を行っているか、ベンダーに確認してください。

アクション2:助成金の申請期限(令和8年9月30日)を確認する
改修済みであれば助成金の対象となる可能性があります。診療所・大型チェーン以外の薬局では上限5.4万円(事業費上限7.3万円の3/4)、病院では上限28.3万円の補助が受けられます。申請期限は令和8年9月30日で、本助成事業は今年度で終了となります。なお、申請要件・補助額等は変更となる場合があるため、最新情報は厚生労働省社会・援護局保護課の公式資料で必ずご確認ください。

アクション3:被保護者を受け入れている医療機関は運用フローを見直す
特に生活保護受給者の受診が多い医療機関では、受付・事務スタッフへの新しい資格確認フローの周知と、未委託での受診時の対応(福祉事務所への確認等)を改めて整理しておくことをお勧めします。

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