電子カルテ導入の流れと手順 - 目的設定から本稼働までのスケジュール完全解説
2019年05月23日 更新日: 2026年08月18日
電子カルテの導入を検討しているクリニック向けに、導入の流れを目的の明確化・要件定義・情報収集・デモ比較・契約・準備・本稼働の7ステップで解説。導入スケジュールの目安や費用相場、使える補助金情報もあわせてご紹介します。
電子カルテの導入を検討し始めたものの、「何から手をつければいいのか」「どれくらいの期間がかかるのか」と不安を感じている院長・開業医の方は少なくありません。この記事では、電子カルテ導入の流れを7つのステップに整理し、各フェーズでやるべきことを具体的に解説します。スケジュールの目安や費用相場、使える補助金情報もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
電子カルテ導入の流れ(全体像)
電子カルテ導入の流れは、大きく以下の7ステップに分けられます。
- ステップ1:導入目的の明確化
- ステップ2:要件定義(必要な機能・条件の整理)
- ステップ3:情報収集と候補製品のリストアップ
- ステップ4:デモ・見積り比較と製品選定
- ステップ5:契約・申込み
- ステップ6:導入準備(ハード納品・環境構築・スタッフ研修)
- ステップ7:本稼働・運用定着
一般的なクリニックの場合、ステップ1〜5の検討期間に約3〜6ヶ月、ステップ6の準備期間に約1ヶ月を見込むのが標準的です。ただし、クラウド型電子カルテはサーバー設置が不要なため、オンプレミス型(インストール型)に比べて導入準備期間を短縮できる場合があります。
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ステップ1:導入目的の明確化
電子カルテの導入を成功させる最初の鍵は、「なぜ導入するのか」を明確にすることです。目的が曖昧なまま製品選定を進めると、デモを受けた後も決め手が見つからず、検討が長期化しがちです。
まず、導入によって解決したい課題を書き出してみましょう。よく挙がる課題の例として、以下のようなものがあります。
- 診療時間の短縮(カルテ入力・会計業務の効率化)
- レセプト作成作業の負担軽減
- 複数拠点や在宅でのカルテ共有・閲覧
- スタッフの業務効率化・残業削減
- 患者情報のデジタル管理と検索性の向上
- 紙カルテ保管スペースの削減
- オンライン診療・Web予約への対応
- 医療DX対応(マイナンバーカード・標準化・他施設連携)
課題をリストアップしたら、次に「本当に大事な目的」を2〜3項目に絞り込みます。優先順位をつけることで、デモ時の評価ポイントが明確になり、製品選定がスムーズになります。やりたいことの優先順位をつけないと、最終的に決めきれない状況に陥りやすいため、この絞り込みのステップは非常に重要です。
ステップ2:要件定義(必要な機能・条件の整理)
導入目的が固まったら、具体的な要件を整理します。要件とは「電子カルテに必須の機能・条件」のことです。以下のカテゴリごとにチェックリストを作成しておくと、製品比較の際に役立ちます。
【機能要件】
- AI入力補助・音声入力に対応しているか
- レセコン(レセプトコンピュータ)が一体型か連携型か
- オンライン診療、Web予約・Web問診との連携は可能か
- マイナンバーカードによるオンライン資格確認に対応しているか
【運用・サポート要件】
- クラウド型かオンプレミス型(インストール型)か
- 導入前のコンサルティングや操作研修はあるか
- 操作マニュアルやサポート窓口の充実度
- 既存データ(紙カルテ・旧システム)の移行サポートがあるか
【コスト要件】
- 初期費用・月額費用の予算感
- 補助金・助成金の活用可否
要件リストを作成しておくと、複数メーカーのデモを受けた際の比較が格段にやりやすくなります。「安いから」「有名だから」ではなく、自院の要件に照らして評価することが重要です。
↓電子カルテの導入費用でお悩みの方はこちらの資料もご覧ください。

資料閲覧はこちら:2026年最新版 m3.com会員に聞いた クリニック向け電子カルテ費用相場レポート
ステップ3:情報収集と候補製品のリストアップ
要件が固まったら、市場にある電子カルテ製品の情報収集を始めます。情報収集の主な方法は以下のとおりです。
- メーカーの公式サイトや資料請求
- 医師向け比較サービス・口コミサイト
- 知人・同業の開業医への聞き込み
- 医療系展示会・セミナーへの参加
情報収集の段階では、クラウド型・オンプレミス型(インストール型)・標準型電子カルテといった「システム形態の違い」を先に理解しておくと候補の絞り込みがしやすくなります。
2024〜2026年にかけて、政府が推進する「標準型電子カルテ」(HL7 FHIR規格準拠)の整備が進んでいます。これは従来のメーカー製電子カルテとは異なり、標準化された仕様で相互運用性を高めることを目的としたシステムです。導入を検討する際は、標準型電子カルテの動向も把握しておくとよいでしょう。
候補製品は2〜3社に絞り込んでからデモに進むのが効率的です。候補を広げすぎると比較の手間が増え、かえって意思決定が難しくなります。
↓標準型電子カルテについてお悩みの方はこちらの資料もご覧ください。

資料閲覧はこちら:標準型電子カルテとは? 概要/システムイメージ/現状の動き/メーカー製との違いなどをご紹介!
ステップ4:デモ・見積り比較と製品選定
候補製品を絞り込んだら、各メーカーからデモを受けます。デモでは以下のポイントを中心にチェックしましょう。
【操作性・画面構成】
- 実際に入力してみてスムーズに操作できるか
- スタッフが短期間で習熟できそうか
【連携機能】
- 現在使っているレセコン・検査システム・予約システムとの連携は可能か
- マイナンバーカード対応(オンライン資格確認)の対応状況
【サポート体制】
- 導入時のデータ移行サポートはあるか
- サポート窓口の受付時間と対応方法
- トラブル時の訪問対応は可能か
【コスト】
- 初期費用・月額費用の内訳(ハード代・ライセンス費・サポート費)
- 契約期間の縛りや中途解約時の条件
見積りは必ず複数社から取りましょう。費用の内訳をそろえた形で比較することが重要です。「初期費用0円」でも月額費用が高い場合や、逆に初期費用が高くて月額が安い場合など、トータルコストで判断する必要があります。
デモを受けた後は、ステップ2で作成した要件リストと照らし合わせて採点・比較表を作成すると決定がしやすくなります。不明点はメーカーに遠慮なく確認することも大切です。
ステップ5:契約・申込み
製品が決まったら、メーカーと契約・申込みを行います。契約時には以下の点を必ず確認しましょう。
- 契約期間と自動更新の有無
- 解約条件・違約金の有無
- アップデート・バージョンアップの費用は含まれているか
- データの取り出し・エクスポートは可能か(将来の乗り換えに備えて)
- 個人情報・医療情報の取扱いに関するセキュリティポリシー
また、電子カルテ導入には補助金・助成金を活用できる場合があります。「診療所診療情報デジタル推進事業補助金」(東京都)や「デジタル化・AI導入補助金」等、導入費用の一部を補助してもらえる制度があります。申請には要件と申請期間があるため、契約前に必ず確認しておきましょう。
※本情報は2026年8月時点のものです。申請期限は公募回により異なります。最新の公募状況は各制度の実施主体(東京都保健医療局・中小企業庁等)の公式サイトで必ずご確認ください。
ステップ6:導入準備(ハード納品・環境構築・スタッフ研修)
契約が完了したら、本稼働に向けた準備を進めます。この期間は通常1〜2ヶ月程度が目安ですが、クラウド型はサーバー設置が不要なため短縮できる場合があります。
【ハード・インフラ整備】
- パソコン・タブレット等の端末の調達・設置
- ネットワーク環境の整備(クラウド型は安定した回線が必須)
- プリンター・バーコードリーダー等の周辺機器の設定
【データ移行】
- 既存の紙カルテやレセコンのデータをどこまで移行するかの方針決定
- 患者マスタデータ(氏名・生年月日・保険情報等)の移行作業
- 既存システムからのデータエクスポートとインポート確認
データ移行は意外と時間と手間がかかります。移行範囲や作業の可否はメーカーによって異なりますので、不明点があれば必ずメーカー担当者に確認しましょう。
【スタッフ研修】
- 操作マニュアルの配布と読み合わせ
- メーカー担当者による操作研修(実機でのトレーニング)
- 受付・看護師・医師それぞれの役割に応じた習熟確認
本稼働前にスタッフ全員が基本操作を習得できているかを確認してください。稼働直後に操作が不慣れなままだと、診療が滞るリスクがあります。
ステップ7:本稼働・運用定着
いよいよ本稼働です。初日・初週は慣れない操作に戸惑うことも多いため、メーカーのサポートを積極的に活用しましょう。
【本稼働直後のポイント】
- 可能であれば稼働初日はメーカーのサポートスタッフに立ち会いを依頼する
- 操作上の疑問点はすぐにサポートへ問い合わせる
- スタッフ間で「使い方の共有」を習慣化する
【運用定着フェーズ(本稼働後1〜3ヶ月)】
本稼働後の定着期間には、以下の改善を進めることをおすすめします。
- よく使うオーダーセットやテンプレートのカスタマイズ
- レセプト請求のフローの確認と改善
- 患者データの入力精度チェック
電子カルテは導入してからが本番です。継続的にシステムを活用し、業務フローに馴染ませることで、投資対効果を高められます。
電子カルテ導入のスケジュール目安
それでは、どれくらいのスケジュール感で進めていくのが良いのでしょう。
以下にスケジュール例を示します。
導入6ヶ月前まで
まずは導入目的の整理と要件リストの作成に取り掛かりましょう。この段階から複数の情報源を使って情報収集を始めると、後のデモ・比較がスムーズになります。インターネット上の比較サービスを活用したり、知人の開業医に実際の使用感を聞いたりするのもおすすめです。補助金の申請要件も早めに確認し、活用できるものがあれば申請スケジュールも把握しておきましょう。
導入3ヶ月前まで
2〜3社の電子カルテメーカーからデモを受けましょう。クラウド型・オンプレミス型・標準型電子カルテの違いを理解した上で、価格帯や機能の異なるメーカーを選ぶと比較がしやすくなります。見積りは必ず複数社から取り、初期費用・月額費用のトータルコストで比較することが重要です。不明点はメーカーに遠慮なく確認しましょう。この段階で契約・申込みまで完了させておくのが理想です。
導入1ヶ月前
パソコン・タブレット等のハードが納品され、ネットワーク環境の整備とデータ移行作業を進めます。並行してスタッフへの操作研修を実施し、本稼働に向けた準備を整えましょう。クラウド型はサーバー設置が不要なため、この準備期間を短縮できる場合があります。
もちろん、急いで検討すれば、検討期間は短くなりますが、3ヶ月程度は見ておくのをお勧めします。(なかには、即断即決で1ヶ月程度で決めている先生も実際にはいらっしゃいます)
エムスリーデジカルはクラウド型電子カルテで、レセコン一体型とORCA連動型から選択できます。初期費用0円から始められ(月額11,800円〜〔ORCA連動型〕・24,800円〜〔レセコン一体型〕、いずれも税別)、サーバー設置が不要なためスピーディーな導入が可能です。専任スタッフによる導入前コンサルティングから導入後の手厚いサポートまで対応しており、急いで検討を進める場合でも早期の申込み受付に対応しています(導入準備期間は別途必要です)。
電子カルテ導入に使える補助金・助成金
電子カルテの導入にあたっては、各種補助金・助成金を活用することで初期費用を抑えられる場合があります。主な補助金として以下のものが挙げられます。
【診療所診療情報デジタル推進事業補助金(東京都)】
東京都保健医療局が実施している補助金で、東京都内の診療所を対象に電子カルテシステムの導入費用の一部支援に充てられる可能性があります。令和8年度は第1回・第2回の公募が行われました。申請要件や補助率・上限額は年度・公募回によって変わることがあります。
※本情報は2026年8月時点のものです。令和8年度の公募期間および次回の募集有無については、東京都保健医療局の公式サイトで必ずご確認ください。
【デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)】
中小企業・個人事業主向けのITツール導入を支援する国の補助金制度で、電子カルテが補助対象になる場合があります。年間を通じて複数回の公募が実施される方式を採っており、公募回ごとに締切日が設定されています。
※本情報は2026年8月時点のものです。申請期限は公募回により異なります。最新の公募スケジュールは、実施主体(中小企業庁等)の公式サイトで必ずご確認ください。
補助金は申請期間が限られており、申請後に審査があります。導入決定後に申請しても間に合わない場合があるため、情報収集の段階から補助金の活用可否を確認しておくことをおすすめします。
↓電子カルテ導入の補助金でお悩みの方はこちらの資料もご覧ください

資料閲覧はこちら:【補助金情報最新版】電子カルテに使える補助金まとめ
電子カルテ導入に関するよくある質問
電子カルテの導入の流れで、特に時間がかかる工程はどこですか?
製品の比較・検討フェーズと、導入準備のデータ移行フェーズです。製品比較は複数社のデモを受けて要件と照合するため、じっくり進めると1〜2ヶ月かかることがあります。データ移行は移行範囲の決定・既存データの整理・インポート確認など段階が多く、担当者が早めに動き出さないと本稼働直前に混乱が生じます。スタッフ研修も十分な時間を確保しましょう。
開業と同時に電子カルテを導入するスケジュールは?
開業と同時に電子カルテを導入する場合は、開業の1年前から情報収集・比較検討を始めるのが理想です。遅くとも半年前には本格的な選定・契約を開始することが推奨されます。物件選定・スタッフ採用・内装工事などの開業準備と並行して進める必要があるため、早めに情報収集を始め、メーカーの担当者や開業コンサルタントと連携しながらスケジュールを管理することをおすすめします。
クラウド型とオンプレミス型(インストール型)はどちらが導入しやすいですか?
一般的にクラウド型の方が導入しやすいとされています。サーバーの設置・管理が不要なため初期費用を抑えやすく、導入準備期間も短縮できます。ソフトウェアのアップデートは自動で行われるため、常に最新の状態を維持できる点もメリットです。一方、オンプレミス型はインターネット接続に依存しないため、回線品質に不安がある環境でも安定稼働するメリットがあります。自院の環境・ニーズに合わせて選択しましょう。
まとめ
電子カルテ導入の流れは、①目的の明確化 → ②要件定義 → ③情報収集 → ④デモ・選定 → ⑤契約 → ⑥導入準備 → ⑦本稼働・定着 の7ステップです。検討開始から本稼働まで一般的には3〜6ヶ月を見込みましょう。
スムーズに進めるためのポイントをまとめます。
- 目的・優先順位を最初に絞り込む
- 要件リストを作成してから比較・デモを受ける
- 複数社から見積りを取り、トータルコストで比較する
- 補助金の申請期間を事前に確認する
- データ移行とスタッフ研修の時間を十分に確保する
電子カルテの導入を検討している方は、まず資料で各製品の機能・費用を比較するところから始めてみてください。

資料閲覧はこちら:エムスリーデジカル 製品資料







