「医療DX令和ビジョン2030」とは? 電子カルテとの関係性も解説
2024年12月20日
自由民主党政務調査会より、2022年に、医療のDX化・医療情報の有効利用を推進するための提言「医療DX令和ビジョン2030」が発表されました。「電子カルテの標準化」など、取り組み内容について目にした方も多いのではないでしょうか。
この記事では、改めて「医療DX令和ビジョン2030」の目的や方針、具体的な取り組み内容等を解説します。ぜひご参考ください。
※2024年12月時点の情報です。
目次
そもそも、医療DXとは
DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」の略で、 デジタル技術を用いて「社会や人々の生活をより良いものへと変革すること」のこと。
一方で、医療DXは、下記のように定義づけられています。
単なる医療の提供の際の手続のデジタル化にとどまるものではなく、 保健・医療・介護の場面において発生する情報をデジタル化して活用することにより、 すべての国民が適切なタイミングで最適な医療等のサービスを受けられるようになり、 かつ、医療機関等の高度化と業務の効率化が進むといった形で、 医療や介護のシステムや制度のあり方そのものを変革していくことである。 さらにはこれを、災害や次の感染症 危機にも対応しうるものとしていく。
引用: 自由民主党政務調査委員会「医療 DX 令和ビジョン 2030」の実現に向けて ~保健医療情報のデジタル活用により、 すべての国民が最適な医療を受けられる国へ~
スムーズに開業を迎えるためにも、余裕を持って備品リストを作成し、必要な備品を確実に準備しましょう。
「医療DX令和ビジョン2030」により、実現すること
①効率的で質の高い医療の提供
日本の医療制度はフリーアクセス制をとっているため、患者の多くは、その時々で複数の医療機関にかかっています。
国民(患者)が受診先を自由に選べる一方、救急などの緊急時において、その方の医療情報を正確に集めるのに苦労します。
救急時医療情報閲覧機能に代表されるように、必要な医療情報をまとめて確認することができるようになれば、適切な医療を適切なスピードで提供することができます。
②国民の健康寿命の延伸
日本は、世界一の長寿国であるため、平均寿命と健康寿命の差が約10年となっています。
そのため、医療DXにより、各患者が自分自身の医療や保険データを簡単に確認できるようにすることで 疾病の予防など健康増進に取り組み、健康寿命を延ばす必要があります。
③医療業界の人材不足
少子高齢化の影響により、医療に対する需要が高まる一方で、医療従事者の成り手は減少しており、 今の状態のままだと、医療・介護の提供体制が、ますますひっ迫します。
医療情報のデジタル化だけではなく、ICT機器や業務改善ソフトなどを上手く使っていくことで、 業務を効率化し、人手不足の状況を改善していきます。
参考: 自由民主党政務調査委員会「医療 DX 令和ビジョン 2030」の実現に向けて ~保健医療情報のデジタル活用により、 すべての国民が最適な医療を受けられる国へ~
医療DX令和ビジョン2030の3つの方針
中心となる方針は、以下の3つです。
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「全国医療情報プラットフォーム」の創設
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「診療報酬改定DX」
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電子カルテ情報の標準化(全医療機関への普及)
1.「全国医療情報プラットフォーム」の創設
全国医療情報プラットフォームとは、医療機関、介護施設、公衆衛生機関、自治体などで個別に保存・管理されている患者の医療関連情報を集約し、共有・閲覧・管理を行うための新しいシステムです。
このプラットフォームでは、電子カルテ情報、レセプト情報、予防接種情報、介護情報などがリアルタイムで共有されます。これにより、医師や薬剤師は他の病院での情報をすぐに見ることができ、より効率的で良質な治療ができるようになります。
また、患者自身も自分の健康情報を確認しやすくなり、疾病の予防や健康管理がしやすくなります。
2.「診療報酬改定DX」
デジタル技術の活用により、医療機関等における負担の極小化をめざす取り組みであり、 主に以下の2つの取り組みを進めています。
(1) 共通算定モジュールの開発
「共通算定モジュール」とは、 「診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、医療機関やベンダの負担軽減に向けて、各ベンダが共通のものとして活用できる、診療報酬算定・患者の窓口負担金計算を行うための電子計算プログラム」です。
引用: 社会保険診療報酬支払い基金 令和4事業年度社会保険診療報酬支払基金事業計画及び保健医療情報会計収入支出予算変更 (24/12/03時点での参照)
これにより、医療機関のシステム改修コストを削減することを目指しています。
(2)公費・地単公費の医療費助成情報のマスタ作成
難病や障害などの国公費や、子ども・乳幼児医療費助成などの地方自治体が独自に行っている地単公費など、受給資格や負担割合が、ばらばらに異なる情報を管理することで、公費・地単公費の適用後の自己負担金が、より正確に計算できるようになり、公費負担医療の現物給付化が可能になります。
これにより、医療機関のシステム改修コストを削減することを目指しています。
電子カルテ情報の標準化(全医療機関への普及)
電子カルテ情報の標準化とは、病院やクリニックなどの間で情報を簡単にやり取りできるように、電子カルテ情報の規格を統一することです。
「全国医療情報プラットフォーム」に情報を集約するためには、電子カルテの存在が欠かせないのですが、現在電子カルテの普及率は55%にとどまっております。また電子カルテ導入施設のうち、オンプレ型の電子カルテを利用している施設が70%以上を占めています。(※1)
電子カルテ情報の標準化を進める上で、オンプレ型の電子カルテを利用している診療所についてはクラウド型電子カルテへの移行を促しています。(※1)
※1): e-Stat 医療施設調査 / 令和5年医療施設(静態・動態)調査 全国編を参考に算出した令和5年(2023)10月の値
画像引用: 厚生労働省「医療DXの更なる推進について」p19 (2024年7月12日発行)
電子カルテ未導入の診療所にも、電子カルテを導入してもらう施策の一環として、政府主導で「標準型電子カルテ」の制作が進められています。
「標準型電子カルテ」は、標準規格に準拠したクラウドベースでのシステム構成としたうえで、国が対象施設に共通した必要最小限の基本機能を開発し、民間事業者等が各施設のニーズに応じたオプション機能を提供できるような構成を目指すことをコンセプトに進められており、まずは、α版(※2) の開発から着手されています。
参考: 厚生労働省「医療DXの更なる推進について第2回標準型電子カルテ検討ワーキンググループ資料」p19 (令和6年3月7日発行)
※2):α版:医科の無床診療所の中でも診療科によらない共通の診療行為を想定している。
現在、紙カルテを使用している方へ
今後、電子カルテ普及率100%を迎えるに当たって、いづれ紙カルテを電子カルテ化せざるをえない時期がやってきます。「標準型電子カルテ」が完成してから、電子カルテ化を行うのも1つの手ではありますが、紙カルテの期間が増えれば増えるほど、電子カルテに移行する際のハードルがあがってしまうのも事実です。
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紙カルテの運用を続けた際におこるデメリット
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電子カルテ化はせずに引退をする場合のクリニック廃業/継承の比較
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