【2023年最新】電子カルテの普及率|普及が進まない理由・導入する3つのメリット
2023年10月13日
電子カルテの普及率は、近年上昇傾向にあります。とはいえ、中小規模の病院や一般診療所では大きな病院と比較して普及率が低い状況です。
この記事では、電子カルテ普及率や、導入が進まない理由、導入するメリットを解説します。
電子カルテの普及率
厚生労働省の医療施設調査によると、2020(令和2)年時点での電子カルテ普及率は、一般病院で57.2%となっています。病床規模別にみると、400床以上で91.2%と高く、ほとんどの大病院で導入が進んでいることが分かります。
一方、200床以下の小規模病院や一般診療所では、48.8〜49.9%と2008年から比較すると大幅に伸びているものの、400床以上の病院と比較すると普及率が低い状況です。詳しい電子カルテの普及率の推移は、以下の表を参考にしてください。
<電子カルテの普及率推移>
一般病院 | 病床規模別 | 一般診療所 | |||
---|---|---|---|---|---|
400床以上 | 200〜399床 | 200床未満 | |||
2008年 | 14.2% | 38.8% | 22.7% | 8.9% | 14.7% |
2011年 | 21.9% | 57.3% | 33.4% | 14.4% | 21.2% |
2014年 | 34.2% | 77.5% | 50.9% | 24.4% | 35.0% |
2017年 | 46.7% | 85.4% | 64.9% | 37.0% | 41.6% |
2020年 | 57.2% | 91.2% | 74.8% | 48.8% | 49.9% |
参考:
電子カルテシステム等の普及状況の推移|厚生労働省
※一般診療所:歯科医業のみを行う診療所を除いた診療所
では、なぜ電子カルテの普及率は未だに50%台なのでしょうか?
以下で解説します。
電子カルテの普及が一部の病院で進まない理由
小規模病院やクリニックなどの普及率が低い理由として、以下の3つが考えられます。
-
紙カルテの使用歴が長い
-
導入・運用のコストがかかる
-
トラブルに対する不安がある
それぞれ解説します。
紙カルテの使用歴が長い
紙の記録に慣れているスタッフにとって、電子カルテ導入に抵抗があるケースは少なくないでしょう。
診療所や病院など多くの医療機関では、古くから紙カルテを使用してきました。電子カルテを導入するためには、スタッフに操作方法をレクチャーしたりデータを移行したりする時間や労力が必要です。
特に、医師や医療スタッフが高齢である場合、パソコンやタブレット操作に苦手意識を持っていることも考えられます。そのため、電子カルテよりも紙カルテのほうが使いやすく、時間もかからないと感じ、導入を見送ってしまうことも少なくないでしょう。
導入・運用のコストがかかる
電子カルテの普及率が低い理由として、コストの問題が挙げられます。
電子カルテの導入には初期費用がかかります。院内にサーバーを設置するオンプレミス型の場合、300〜500万円程度、毎月の保守費用が月2万〜3万円程度かかります。そのため、診療所や小規模病院では、導入・運用コストの負担に難色を示すケースは少なくないでしょう。
とはいえ、院内にサーバーを必要としないクラウド型の電子カルテであれば、初期費用はサポートの種類によりますが、10万円~で、メーカーによっては無料のケースがあります。月額費用は数万円と、導入のハードルは低い傾向にあります。しかし、クラウド型の電子カルテ導入によってどの程度業務改善につながるのか、費用対効果が試算しづらいことも、導入を妨げる要因になり得るでしょう。
トラブルに対する不安がある
急に電子カルテが使えなくなるなどのトラブルに対する不安があり、導入を見送ってしまうケースも考えられます。
オンプレミス型は、停電などによって電子カルテが使えなくなる場合があります。クラウド型は、インターネットにつながる環境であれば使用できますが、通信障害等のトラブルによって使えなくなるケースもあるでしょう。
こういった事態に対応できるスタッフがいなかったり、新たに人材を雇ったりする余裕がなかったりすると「紙カルテのほうが便利」と、導入を後回しにしてしまうでしょう。
上記のような懸念があるにも関わらず、年々電子カルテの普及率が増えていることには理由があります。
以下で、電子カルテを導入するメリットを紹介します。
電子カルテを導入する3つのメリット
電子カルテを導入するメリットは、以下の3つです。
-
情報を一元化できる
-
ミスの削減につながりやすい
-
業務効率化につながる
それぞれ解説します。
情報を一元化できる
電子カルテを導入することで、さまざまな診療情報を一元化できます。
従来の紙カルテは、患者1人につきカルテ1冊です。そのため、別のスタッフが使用している場合、同時に閲覧できない状況があります。電子カルテであれば、患者の情報が一元化されているため、院内で医師と看護師や検査技師、医療事務などが同時に閲覧できます。
また、紙カルテは診療録と外来カルテが別になっていたり、レントゲンなどの検査データ、処方箋などが別々に管理されているケースが大半です。電子カルテであれば、メーカーによって連携できる機器等は異なりますが、機器との連携や検査結果の取り込みもできるため、診療時の工数が削減されるでしょう。
また、紙カルテのようにかさばらないため、保管のためのスペースを必要としません。オンプレミス型であればサーバーとパソコン、クラウド型であればパソコンの設置場所さえあれば良いので、院内スペースを有効に活用できます。
ミスの削減につながりやすい
電子カルテの導入によって、ミスの削減につながりやすくなるのもメリットの1つです。
従来の紙カルテは手書きのため、医師や医療スタッフの字が読み取りづらいという状況は少なくありません。電子カルテであれば、字が読み取りづらいといったことがないため、処方箋や指示の読み間違いによるミスが大幅に削減できるでしょう。
また、電子カルテの種類によっては、医薬品データベースと処方チェック、患者のアレルギー項目の登録などの機能を有しているものがあります。そのため、医療ミス防止にもつながりやすくなります。
業務効率化につながる
電子カルテを導入すると、カルテ出しや会計をはじめ、院内のさまざまな業務の効率化につながります。
例えば、電子カルテの種類によっては、診療情報提供書や予約表などのテンプレートが用意されているものがあります。忙しい外来診療の合間に書類を記載する手間を削減でき、業務効率化につながります。
当社のクラウド型電子カルテ「エムスリーデジカル」は、AI(自動学習機能)により、よくオーダーする処置行為などを自動表示する機能を有しています。診療のたびにオーダーする必要がなくなり、作業時間を大幅に削減するのに役立つでしょう。
また、クラウドサービスである「デジスマ診療」は、予約から問診、自動受付、診察、オンライン決済まで一貫した診療を実現可能です。電子カルテ導入によって業務効率化を図りたい方は、お気軽にお問合せください。
電子カルテの選定ポイント
電子カルテを選ぶ際のポイントは、主に以下4つです。
-
自院に合った機能を有しているか
-
操作性は良いか
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サポート体制が充実しているか
-
費用が負担にならないか
それぞれ解説します。
自院に合った機能を有しているか
電子カルテを選ぶ際、導入の目的を明確にし、自院に必要な機能を有しているか確認しましょう。
電子カルテには、主にオンプレミス型とクラウド型があります。以下の特徴やメリット・デメリットを把握し、自院に合ったものを選びましょう。
オンプレミス型 | クラウド型 | |
---|---|---|
特徴 |
|
|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
操作性は良いか
電子カルテは、メーカーによって操作性が異なります。電子カルテ導入の際、医師や医療スタッフが操作しやすいものを選ぶようにしましょう。
また、電子カルテは複数社で比較検討するのがおすすめです。電子カルテは毎日使用するため、ちょっとした使いづらさが業務に支障をきたす可能性が考えられます。メーカーによっては、無料デモ体験が可能な電子カルテが用意されているため、実際に操作して使いやすいものを選びましょう。
サポート体制が充実しているか
電子カルテを選ぶ際、サポート体制が充実しているかどうかを確認することが重要です。
パソコンやタブレットなどの操作に慣れていないスタッフが多い場合、担当者のレクチャーによって導入がスムーズになるでしょう。また、導入したばかりで操作に迷う場合にもサポートが受けられるか、確認しておくことが大切です。
トラブル対応は有償か無償か、オンラインもしくは来院してもらえるかもチェックしておきましょう。
費用が負担にならないか
電子カルテの選定には、費用が負担にならないかどうかを確認することが大切です。
オンプレミス型の場合、初期費用やメンテナンス費用がかかります。自院に必要な機能を有し、費用対効果が高いかよく検討しましょう。クラウド型は導入・初期費用は抑えられるものの、月額利用料が必要です。メーカーによって、月額費用は異なるため、自院にとって負担にならないか、比較検討するのがおすすめです。
まとめ
電子カルテは、ほとんどの大規模病院では導入が進んでいるものの、小規模病院や診療所では50%以下の普及率にとどまっています。電子カルテを導入することで、情報を一元化し、業務効率化につながりやすくなります。とはいえ、導入・運用費用がかかるため、自院に適した電子カルテを選ぶことが大切だといえるでしょう。
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